1971年　メルセデス・ベンツ 280S セダン D車

INFORMATION

DESCRIPTION

　縦目セダン最終モデル、W108のショートボディの280Sが入庫しました。

1967年にM130型・2800ｃｃエンジンを搭載した280Sシリーズがラインナップに加わり、それまでの250Sにくらべ馬力で10馬力ほどアップし、トルクも増えた事により、更に乗りやすさに磨きがかかりました。
　
　W108シリーズの中核をなすモデルとして日本にも当時としては比較的多くがヤナセにより輸入・販売されました。当車両は1971年式で、縦目セダンとしては後期モデルであり、熟成の域に達した感があります。6年間で9万3千台あまりが製造されていますが、多く輸入されたと言っても、日本に送られた台数は実際には全体の１割にも満たない台数でした。

　エンジンはM130型、6気筒／OHCシングルカムシャフト、ゼニス製4バレルキャブレターを装備して140馬力。トルク23kgと必要にして充分。補器類は少なくエンジンルームはスッキリとした印象を受けます。点火系、電気系もよくメンテナンスされていて好印象。エンジンのフィーリングは実にスムーズで当個体の素性の良さを感じます。勿論、V８モデルに比較すれば非力な印象を持ちますが、1460kgのボディを考えれば動力性能は体感上では充分に良い印象です。

　内装はタンのMBテックスで状態はマアマアといったところ。ほぼオリジナルの状態を維持しています。ウッド類もオリジナルのままですがご覧の通りの状態です。クーラーの効きも正常、後期タイプなのでリヤからではなくフロントのセンターパネルに吹き出し口が付いたタイプです。オーデイオは社外品のCDデッキ・チューナーが備わります。ステアリングはオリジナルの黒のタイプでコラムシフトにパワーステアリングを装備。また、オプションとしては大変珍しいベンチタイプのフロントシート装備しています。

　サイズは全長4.9ｍ、全幅1.8ｍ、高さ1.44mと現代のレベルではクラウンクラスより若干大きいぐらい。国産大型セダンなんかと並べてみるとコンパクトに見える。また、よく切れるハンドルと相まって市街地などでも不便は感じません。ボディカラーはメタリックの濃いグリーンといかにも当時のメルセデスといった趣で、中々魅力的。コラムシフトにパワステアリング、クーラーなどは装備されていますから今でも充分実用車です。

　スタンダードなSクラス縦目セダンですが、このモデルにしかない魅力も持っています。6気筒で鼻先が軽く、全体的な取り回しの良さや、シンプルな構造でメンテナンスが容易なのも美点でしょう。クラシカルな雰囲気を楽しみながら、手の掛からない縦目セダンをお望みならまさに打って付けのクルマといえるでしょう。

　何れにしても、もうこの手の良好な縦目のセダンは見つけることが難しく、ご興味がある方なら早めにご検討をお勧めします。

　ぜひ一度、実車をご覧になって下さい。

RECOMMEND